【マメ知識】相続税の申告前に相続チェックシートを活用しよう!

相続税は、故人の死後10か月以内に申告書を税務署に提出して納付することが求められています。その申告書の作成は煩雑で、また確認すべき事項も多岐に渡るため、ご自身で手続きをしようとしても、何から手をつければよいかなかなか分かりません。

そこで今回ご紹介したいのが、国税庁がホームページ上で公開している『相続税の申告のためのチェックシート』です。ご自身で相続税の申告をされる際に大いに役立ちます。

相続チェックシートって何?

相続税の申告書を作成する際にぜひ活用していただきたいのが、『相続税の申告のためのチェックシート』(以降、相続チェックシート)というものです。

相続税の申告書が正しく作成されるように、一般に誤りやすい事項をまとめてあるものです。このシートを順に埋めていけば、相続税の申告に間違いがないかどうかの確認ができるようになっています。これを申告書と一緒に税務署に提出します。

国税庁・税務署が公表しているチェックシート

相続チェックシートは、遺産を相続する方が、例えば「未登記不動産はあるか」や「有価証券の計上漏れはあるか」などの確認をし、その確認に使用した書類の添付の有無を記入していくものです。

このシートは、国税庁のホームページでダウンロード出来ますので、わざわざ税務署に取りに行かなくても、誰でも簡単に手に入れることができます。

ただし、年度によって多少の形式の違いがありますので、相続開始日に対応した様式であるかどうかを確認した上でダウンロードして、プリントアウトしてご使用ください。

チェックシートは相続税の申告に確認のために使う

相続税の申告に、なぜこの相続チェックシートを利用した方が良いのでしょうか。

相続税の申告は誰もが必要なものではありません。相続税には基礎控除があり、被相続人の遺産の合計額が控除額を超えた時にのみ支払う義務が発生します。

この相続チェックシートは、相続税の申告書を作成する際に、自分は相続税の申告が必要かどうかをはじめ、申告書の内容が正しいかどうか、申告漏れがないかどうかを誰でも確認しやすくするために、国税庁・税務署が用意したものなのです。

相続税の申告の際に相続チェックシートも提出しなければならない

相続チェックシートは申告書と一緒に提出することは義務ではありません。しかし、国税庁・税務署が公表しているこのシートの冒頭には、「申告書に添付してご提出くださるようお願いいたします。」と記載があり、申告の際には、申告書と一緒にこのシートを提出するように求めています。

相続チェックシートは、ご自身で必要な検討内容や添付資料が網羅されているかを確認できるだけでなく、その内容を手続きの際に示す書類ともなります。したがって、申告書と一緒に税務署に提出することで、添付書類の不備等を防ぐことができます。

相続チェックシートの記載方法は?

それでは、相続チェックシートの記入の仕方について、具体的にみていきましょう。

このシートには、不動産や預貯金をはじめとした申告が必要な項目について、それぞれ検討すべき内容とその確認に必要な資料が一覧化されています。基本的にはそれらの質問に従ってレ点でチェックをし、被相続人や相続人代表者の名前等を記入するだけです。

レ点を付けてチェックする

この相続チェックシートは、相続財産、債務・葬式費用、評価、などに区分されています。最初の項目は相続財産の分割等で、「①遺言書はありますか。」という検討内容から質問が始まっています。

相続財産という区分では、不動産、事業用財産、有価証券、現金・預貯金、家庭用財産、生命保険金・退職手当金等、立木、その他の財産などの検討項目に分かれています。

これらの項目に対して、内容が検討済みならレ点、さらに検討資料の添付の有無にレ点、という具合でチェックを進めていけば良いのです。

これらの項目が、さらに債務や不動産に至るまで、細かく分類されて続きます。

相続人氏名・相続人代表の住所・氏名の項目を記入

相続チェックシートにはレ点でチェックする項目のほかに、被相続人のお名前と、相続人代表の方のご住所とお名前、電話番号を記入する箇所があります。

相続人代表は、相続人が複数名いる場合に、税務署等との連絡窓口となる人です。ただし、代表になることに特別な定めはなく、相続人全員の合意があれば、どなたがなっても差し支えありません。

税務署からの連絡に対応する必要があるため、申告の内容を把握していて、納税地の近隣に居住されている方がなるのが一般的です。

なお、相続人が一人の場合は、自動的にその方が相続人代表となります。

検討資料の添付の確認

相続税の申告にあたって、検討された事項はその内容を証明する資料が必要になります。相続チェックシートには、それぞれの質問に対して内容を確認できる資料の種類が明記されていますから、該当の資料を取り寄せ、添付有の欄にレ点を入れていきます。

相続税の申告に必要な資料は、戸籍謄本や株券や通帳など、日常的に使用するものから、「特別代理人選任の審判の証明書」や「森林経営計画書」など、特別に準備する必要があるものまで多岐にわたります。

したがって、資料が間に合わずに申告期限を過ぎてしまう、ということのないように、資料の取得は早めに始めることをお勧めします。

税理士が関与している場合はその旨も記載

被相続人や相続人代表の方の住所、お名前を記入する欄のすぐ右側に、関与税理士の所在地、氏名、電話番号を書く欄があります。(使用するシートの年度によって、記入箇所は変わる場合があります。)

この相続チェックシートは、ご自身で手続きする場合はもちろんですが、税理士が手続きを代行する際にも使用します。

税理士が申告をする際には税理士本人がこの欄に記入しますので、税理士に依頼せずにご自身で手続きを行う場合には、こちらの欄は記入不要です。空欄のままにしておいてください。

相続チェックシートの提出先は?

さて、申告書や相続チェックシートを完成させ、添付の資料等も全て揃ったら、いよいよ相続税の申告です。申告先は、被相続人の住所地を管轄する税務署です。

実際の申告の際には、申告書と相続チェックシートの他に、マイナンバーや被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本なども必要になりますので、必要な書類が全て揃っているかどうか、申告前にもう一度チェックシートを確認しましょう。

相続チェックシートは税務署に提出しよう

相続税は、税務署に申告書等を提出して手続きをします。提出先は、被相続人の生前の住所地を管轄する税務署となります。

まず、国税庁のインターネットサイトから、税務署を検索します。郵便番号または住所(都道府県と市区町村)を入力して検索ボタンをクリックすると、その地域の税務署が一覧で出てきます。

税務署ごとに、それぞれの税務署が管轄する地域名一覧が記載されていますので、もし該当の税務署が2か所以上あった場合には、その管轄地域の中から、被相続人の住所地がどの税務署の管轄地域になっているかを見つけて、確認してください。

義務ではないが提出したほうが良い

この相続チェックシートは、先にも触れたように提出義務はなく、相続税の申告に関わる一般的な誤りや申告漏れを防ぐために、あくまでご自身が使用するためのものです。

このシートを申告書と一緒に準備して提出すれば、どの検討項目に対してどんな資料が確認されたか、また必要な書類が添付されているかが一目で分かるだけではなく、全ての遺産について検討されたしるしともなります。

必要書類の不備によって、意図せず申告内容の虚偽を疑われて、その結果、税務調査の対象になってしまうという事態は防ぎたいところです。

相続チェックシートを使って正確に相続税の申告をしよう

これまで相続税の申告は難しいという印象をお持ちだった方も多いと思いますが。

しかし、『相続税の申告のためのチェックシート』を活用して、一つひとつの相続財産について検討していくことで、ご自身でも手続きができるとご理解いただけたかと思います。

相続税の申告には期限があります。申告に二の足を踏んでいる方、まずはこの相続チェックシートをダウンロードするところから始めてみましょう。

『相続税の申告のためのチェックシート』のダウンロードはこちらから

また、相続の手続きに必要な書類は以下の記事でわかりやすく説明しています。もし、気になる方は是非ご覧ください。


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