空き家は早めに売った方がいい?3000万円の特別控除を受ける方法!

空き家を売却する際に3000万円の特別控除を受けることができる制度をご存じですか?

「売る時に家の解体費用がかかる」などの理由で取り壊されない空き家が増えています。しかし、特例制度が設けられており、家を売る時に3000万円の特別控除が受けられる場合があります。

今回は空き家を売る場合の特別控除の特例について解説します。

空き家を売ったときに3000万円の特例を受けることができる?

この特例は、相続した空き家を売った際の譲渡所得から3000万円を控除するというものになります。

被相続人(亡くなられた人)が住まれていた家やその家を取り壊した後の土地を、相続人が売却した場合などが対象です。この時、空き家を残したまま売るか、解体して売るかにより方法が違います。

ここではそれぞれ詳しく解説していきます。

空き家を残したまま売却する方法

空き家を残したまま売る場合は、中古戸建(中古住宅)か古家付き土地(資産価値のほぼ無い家付きの土地)どちらかという扱いになります。

どちらも建物のリフォームや解体費用はかかりません。そのままの状態で売ることができます。

ただし、現行の耐震基準へ適合させるための、耐震リフォームは必要になります。耐震基準に満たない空き家を残したまま売却しても特例の適用はありません。

また、耐震リフォームを行ったとして、売ることはできるのですが、買い手がつくまで時間がかかることがあります。また、更地にした状態よりも売却価格が低くなるかもしれません。

空き家を解体して売却する方法

建物を解体し更地にした後に売る場合は、建物がある状態よりも早く高く売ることが可能です。解体費用はかかりますが、短期間に売却したいなど急ぐ方にはメリットがあります。

少しでも早く売却して3000万円の特例の適用を受けたいという方は、解体して売却する方をおすすめします。

注意点としては、更地の状態で1月1日を迎えてしまうと、住宅用地の課税基準の特例が適用されないため、特例適用時よりも高い固定資産税が課されることになってしまいます。その点においては気を付けておきましょう。

空き家を売却する流れ

 空き家を売却する流れとしては、まず不動産会社を選び、空き家の査定を依頼します。その後、条件に合う会社と契約を結び、買い手が決まったら売買契約を締結し、空き家を引き渡す、といった流れになります。

不動産会社選びのポイントは、空き家問題に強く、空き家から近い不動産会社を選ぶことです。

不動産会社により売却価格が違ってくるためで、複数の会社から査定を行うことで、より高く売却できる可能性が強まります。

また、買い手側との交渉は不動産会社が行うので、家の所有者は会社に依頼するだけで良いです。その他の面倒な手続きは全て不動産会社が行ってくれます。

特例を受けるための要件は?

相続した空き家の売却した際の利益を譲渡所得と言いますが、この特例を受けることができれば、譲渡所得から3000万円が控除されるので、とても大きな節税になります。

では、この特例を受けるための要件は具体的にどういったものがあるのでしょうか?それぞれの条件を解説していきます。

家屋の適用要件は?

家屋についての適用要件ですが、いくつかあります。

まずは、被相続人(亡くなった人)が相続開始直前まで1人で住んでいた家屋であることです。

これを証明するには、「被相続人居住用家屋等確認書」や被相続人の住民票などが必要になります。

次に、昭和56年5月31日以前に建てられた家屋かどうかです。

この特例が旧耐震基準の古い家屋を対象にしているためで、地震による家の倒壊などがあると危険ですので、そのような家が増えないように特例を定めた経緯があります。

また、相続した時から譲渡した時までの間で、家屋を賃貸物件や会社の業務で利用していないか、相続人などに居住させていないか、ということも重要です。

特例を受けるための3つの適用要件

適用要件に関しては以下の通りです。

  • 譲渡する際の価格が1億円以下であること
  • 家屋を譲渡する際には、今現在の耐震基準に適合していること
  • 相続した日から3年後の12月31日までの間に売却する必要がある

基準に達していなければ、耐震リフォームを行う必要がありますし、それ以外なら家屋を取り壊してしまう選択も出てきます。

また、相続した日から3年後の12月31日までの間に売却する必要があります。

例えば2020年6月1日に相続開始なら2023年12月31日までの間に売却すれば適用要件になります。そしてその売却は、配偶者や自分の子供などの近親者に対してのものではないことが条件になります。

特例を受けるための要件の4つのポイントを解説

ここでは、特例を受けるための重要な要件のポイントを4つに絞って解説していきたいと思います。

  • 売却する空き家の建築された時期や現在の耐震基準に適合しているかどうか
  • 売る家は特例の適する空き家かどうか
  • 売り出す時期と売却価格
  • 空き家に対しての特例

以上の4つに関して具体的に解説していきます。 

売却する空き家の建築時期と耐震基準

特例の適用を受けられる空き家の建築時期についてですが、登記簿謄本や登記事項証明書の表題部、原因及びその日付という欄で確認できます。

その時期を見て頂いて、昭和56年5月31日以前に建てられた家屋または家屋と敷地なら特例の適用要件に当てはまります。

やはりある程度古い家というのは、税金という経済的な面や、壊れた壁などにより第三者に被害を与えることになってしまった場合の人的補償の面からしても、考えていかなければならない問題だと思います。

耐震基準に関しては、基準未満の家屋は、耐震リフォームをしないと売却できません。耐震基準の適合証明書は、建築士や指定検査機関などに依頼し発行してもらいます。また、区分所有建物(分譲マンションなど)は対象外です。

売却する家は完全に空き家でなければならない

次に、売却する家屋は完全に空き家であることです。これは前述のように、相続開始直前に被相続人が1人暮らしをしていたことがポイントです。

相続開始直前に同居人がいる、相続開始から売却までの間に人に貸す、更地にして駐車場として貸していたといった、他の用途で使用していた場合は適用されません。

また、老人ホームへ転居され住民票を移された場合は、被相続人が要介護認定(介護保険法などによる)などを受けて、相続開始の直前まで老人ホームに入所していたこと、被相続人が入所後から相続開始の直前まで、家屋の一定の使用があることが適用要件になります。

家屋の一定の使用については、被相続人が家財道具の保管をしていた、といった場合でも適用要件となります。ちなみに、親族の家などに移った場合などは対象外になります。 

売却時期と価格に注意する

次に売却する時期と価格についてです。

この特例は相続開始から3年後の12月31日までに売却することが条件になってきますさらに、この特例の適用期限の2023年12月31日までに売らなければなりません。

この時期と期限に関しては、十分な余裕を持って見積りすることをおすすめします。

また、譲渡価格は1億円以下にしなければなりません。不動産売買は固定資産税の関係上、費用を含めてしまうと譲渡価格が1億円を超えるという場合もあります。

譲渡価格を決める際は、1億を超えないように価格設定を行っていきましょう。

家屋が主体となる土地であること

この特例は古い家を売却しやすくし、空き家を減らすことが目的のため、家屋が主体となることです。

例えば、家屋を長男が、土地を次男が、というように別々に相続した場合、家屋を相続した長男には特例の適用が受けられますが、土地のみを相続した次男は適用外ということになってしまうので、注意が必要です。

特例を受けるためには空き家を早め査定しよう

空き家となってしまった家屋をそのままにしていると、特定空き家に認定されてしまう可能性があります。しかし、特例をうまく利用することで、思っていたよりも費用がかからずに済む可能性があるのです。

また、時期により需要に差が出やすい家などの物件は、その時々により売却価格が大きく変わることが予想されます。

早く空き家を売りたいからと急ぎ過ぎると価格交渉にて不利になってしまうこともあります。売却が想定される方は、早めの査定を受けて売却の準備を進めておくことをおすすめします。


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