【あなたは大丈夫?】遺産争いで揉めるパターン5つの特徴を解説!
大切な家族が亡くなり、悲しみを抱えながらのお別れを済ませると、本格的に故人の遺産相続についての話し合いが始まります。
この遺産をめぐって、家族や親族間でのトラブルが後を絶ちません。「我が家だけは大丈夫」などと考えている方のほうが、案外トラブルに発展してしまうケースもあります。
どんな人が遺産争いで揉めるのでしょうか?今回は遺産争いの特徴を詳しく解説していきます。
遺産争いで揉めるパターンは増えている
ここ数年、遺産を巡るトラブルは増加する一方です。遺産と言うと、莫大な金額をお持ちの方に限られるというイメージをお持ちではありませんか?
「うちはそんなにお金がないから揉めないわ」という方や、「兄弟の仲が良いから争いなんて無縁」と思われている方は要注意です。
遺産が少なくても、親族間の仲が良くても争いに発展してしまう場合を解説します。
5,000万円以下の遺産争いで揉めることが急増中
遺産争いは家族での話し合いで決着がつかず、家庭裁判所での争いになることもあります。事実、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割争いの75%が、遺産総額5000万円以下のものです。「うちには大金がないから大丈夫」と思っている家族ほど、激しい争いになっていることがわかります。
少ない金額のほうが揉めやすい原因は、やはり人間の欲が関係しています。1000万円や2000万円という現実的な金額になると、できるだけ多く遺産が欲しいと途端に欲が出てきてしまいます。
遺産分けは、ただのお金の分配ではなく、故人との関係を考えた「気持ちの振り分け」であることを忘れずにいたいものですね。
仲が良くても遺産争いでの揉めごとは避けられない
家族や親族の仲が良いから、まさか遺産争いなんてするはずがないと思っている方も注意が必要です。
大きな原因としては、相続人全員の同意を得ることがなかなか難しいという点があります。故人と特に関係の強い方や、最後まで介護で面倒を見ていた人は、自分がより多くの財産を受け取るべきであると考えていることが普通です。しかし、なかなか理解が得られずに争いになってしまうことがあります。
また、遺産に不動産も含まれている場合、複数人で平等に分けることができないため誰が相続するかという問題になります。
些細なことから遺産争いは始まりますので、お互いの気持ちを汲み取り合って、冷静に遺産分割を進めていく必要があります。
遺産争いで揉めるパターン5選
わずかなお金でも、仲の良い兄弟であっても遺産争いになってしまうことを解説したあとは、遺産争いになる具体例を5つご紹介したいと思います。子供がいない場合や、長年親の介護をしていた場合など、どれもごく一般的に起こる遺産争いの事例です。
それぞれの事例がご自身や親族に当てはまらないかどうかを考えながら、読み進めてみてください。
遺産の中の現金よりも不動産が多い場合は揉める
故人の遺産として残されたもののうち、現金よりも不動産のほうが多いというパターンです。現金であれば相続人に応じた金額を分配できますが、不動産についてはどの相続人名義にするのかを決める必要があります。
そうなると不動産を相続する人と、現金を相続する人の間に資産価値としても大きな差が生まれ、これが争いに発展してしまいます。
不動産は管理費用もかかりますし、固定資産税を納める必要があります。現金と違い、平等に分けることができない不動産は、できるだけ親の代で「家じまい」として処分するか、不動産を売って現金化するなど、争いの火種とならないようにしたいものですね。
前妻の子供が現れたときは遺産争いで揉める
故人の前妻の子供が、相続人として遺産を要求することがあります。もちろん前妻の子供も相続人となりますので、遺産を分割する義務があります。
もう離婚して数十年経つのに…というお気持ちは当然ですが、いくら前妻の子供とは言え故人の子供でもあります。
このケースで大切なことは、故人の妻として我が物顔でさっさと遺産分割協議を進めてしまうことだけは避けましょう。前妻の息子からしてみると、後妻が勝手にあれこれ決めている、とマイナスな気持ちを抱いてしまいます。
妻として、相続の件を仕切りたい気持ちは少し抑え、前妻の子供の気持ちも考えながら話し合いを進めることが重要です。
内縁の妻がいる場合は遺産争いで揉める
前妻の子供と同様に、思わぬところから相続人が出てくることがあります。最近では、「事実婚」と言って、事実上は婚姻状態であるものの婚姻届を提出していないカップルもたくさんいます。いわゆる内縁関係というものですね。
結論から言うと、内縁の妻は法律上の妻ではありませんから故人の相続人になることはできません。妻として法律上や税務上の優遇を受けたいのであれば、必ず婚姻届を出しておくことをおすすめします。
ただし、内縁の妻であっても故人の遺言に相続の旨が記載されている場合は、事情が変わってきますので注意が必要です。
子どもがいないときも遺産争いで揉める
女性の社会進出が進んだことや、核家族が増えたことを背景に子供を持たない夫婦も増加しています。故人に子供がいない場合、相続人は妻のみと思いがちですがそうではありません。故人の兄弟姉妹も含まれますし、仮に亡くなっていた場合はその子供(故人の甥や姪)が対象となります。
長年二人で連れ添ってきて、故人の遺産をできる限り妻(配偶者)に残したいというお考えをお持ちであれば、ぜひ遺言書を作成してください。遺言書は書式のルールが多く、正しい形で残す必要があるため、遺言書作成の場合は弁護士などに相談するほうが後々のトラブルを避けることができて良いでしょう。
親の介護をしていた人がいる場合も揉める可能性がある
仮に故人が長年寝たきりであった場合、身の回りのお世話や介護を担っていた人の苦労や功績はとても大きいと考えられます。その方としては、功績分だけ多めに遺産を受け取りたいと思うのが自然です。
しかし、現在の法律ではたとえ長年介護などで故人をサポートしてきたとしても、その分多めに遺産を受け取るといったことはできません。
故人のお気持ちとして、献身的に介護してくれた方へ多くの財産を渡したいというのであれば、やはり遺言書にその旨を記載しておく必要があります。もしくは生前贈与を使えば、相続人でない方へもお金を残すことができます。
介護等でお世話になった方への感謝のしるしとして、予め何かしらの対策をしておくほうが良いでしょう。
また、以下の記事では相続財産の使い込みでトラブルになる場合とその解決方法を解説しています。相続トラブルになった場合に弁護士に依頼するメリットなども記していますので、気になる方は是非ご覧ください。
遺産争いで揉めた場合のデメリット
遺産相続は様々な理由からトラブルに発展してしまいがちですが、相続争いになった場合のデメリットはないのでしょうか。デメリットを知っておくと、できる限り円満な相続を実現することができるかもしれません。何より、必要以上に親族が争うことを避けることができればなお良いですよね。
最後に例として3つのデメリットを解説したいと思います。
揉めると遺産分割協議が長引く
遺言書に書かれていない遺産がある場合や、そもそも遺言書がない場合に遺産分割協議が行われます。相続人さえ同意すればどのような分割でも構いませんが、遺言書がない場合の多くはやはり裁判所による調停分割となってしまいます。
協議が長引くほど、裁判所の調停となる可能性が高くなりますし、そうなると調停委員とのやりとりもあってさらに流れが煩雑になってしまいます。
こうならないためにも、できるだけ相続人同士の話し合いで解決できる方向にもっていく努力が必要です。
まずは遺産の内容をはっきりさせることや相続人を確定させるところからスタートしましょう。
遺産争いがおこると相続税の控除を受けることができない
相続税の控除は相続税額から差し引く税額控除と、遺産の総額から差し引く控除の2つに分けることができます。今回は配偶者控除を考えてみましょう。
相続税の申告期限までに遺産分割をしておかないと、配偶者の相続額がわからず控除を受けることができません。この期限というのは、故人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内のことを指し、それまでに遺産分割を済ませておく必要があります。
もちろん、諸条件をクリアすればこの10か月という期限を延長することができますが、税金のことですので可能な限りスムーズな分割を目指したいものですね。
遺産争いの揉め事で疲れてしまう
やはり精神的なダメージが一番大きいと言われています。故人が亡くなるまではあんなに仲のよかった兄弟や家族が、お金のことでこんなにも仲違いをしてしまうとは想像もできなかったと思います。
仮に相続人全員が同意して相続が完了したとしても、一度揉めてしまった仲はなかなか修復できません。争いが長期化すればするほど、気持ちの面での負担がとても大きくなっていくことを知っておく必要があります。
家族がそれほどまでに争うことを、故人は望んでいたのでしょうか?相手も大切な家族の一員なのですから互いに思いやりを持って接することができれば、争いが長期化することは避けられるものです。
遺産争いで揉めることを避けるためには「終活」が大事
今回は遺産相続で揉める場合について、詳しく解説しました。
せっかく故人が残してくれた財産ですから、相続人みんなで納得のいく分配をしたいですよね。
近年では、「終活」といって人生の終わりに向けた準備を始める人も増えています。親族同士の争いほど切ないことはありませんから、生前にできるだけ遺産を整理し、家族での話し合いの場を設けるなど今からできることを、ぜひ実践してみてくださいね。