相続税には基礎控除があるって本当?税金を払わなくてもいいの?

「相続税って遺産を相続したら必ず払わなければいけないの?」そういう疑問がある方も多いと思います。実は相続税の中には基礎控除というものがあり必ずしも全員が相続税を払う必要はないのです。相続税の基礎控除には計算方式があります。今回は基礎控除について、また計算方式をわかりやすく解説していきます。

相続税には基礎控除というものがある

相続税には基礎控除というものが用意されており、相続人全員が必ずしも納めなければいけないというわけではありません。基礎控除があるので、ほとんどの方は相続税を納めなくてよいです。

相続税を納めなければならない方は、亡くなった方が他の財産が基礎控除を上回る場合になります。そして、基礎控除には計算方式があります。 

相続税の基礎控除の計算方式

相続税の基礎控除は計算によって求めなければなりません。その計算方式はそこに難しくありませんので覚えておいて損はないでしょう。

以下の見出しでは計算方式について詳しく説明していきます。

法定相続人の数を計算しよう

相続税の基礎控除を計算するにあたり、法定相続人の数を知らなければなりません。法定相続人の数とは法律で定められている相続人、つまり亡くなった方の遺産を受け取ることができる人の数です。

相続人の数の数え方には規則があります。

1.亡くなった方、つまり被相続人の配偶者は必ず法定相続人になる

2.法定相続人の第一順位は被相続人の子供 

3.法定相続人の第二順位は被相続人の親

4.法定相続人の第三順位は被相続人の兄妹姉妹

この順位が高い順に相続人となります。例えば、亡くなった方に配偶者がいて子供がいれば、亡くなった彼の両親が健在でも法定相続人の数に入りません。子供が1人の場合は、亡くなった方の配偶者と合わせて、法定相続人の数を2人になります。

亡くなった方に配偶者がいて子供がいなかった場合は、亡くなった方の両親も相続人になります。両親がどちらとも健在であれば、法定相続人の数は配偶者と合わせて3人になります。

このように相続人には優先順位が決められています。この優先順に従い法定相続人の数が決まることになります。

基礎控除の具体的な計算式

基礎控除の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。法定相続人の数は上記の数え方によって決まります。

では実際に計算してみましょう。

亡くなった方に配偶者と子供が2人いた場合は基礎控除の額はいくらになるのでしょうか?答えは「3,000万円+600万円×法定相続人の数(配偶者1人+子供2人)=基礎控除額4,800万円」です。

亡くなった方に配偶者と子供が3人がいて、亡くなった方のご両親がどちらとも健在の場合はどうなるのでしょうか?答えは「3,000万円+600万円×法定相続人の数(配偶者1人+子供3人)=基礎控除額5,400万円」です。

亡くなった方に子供がいる場合は、亡くなった方のご両親は法定相続人の数に入らないことになります。そのため基礎控除額は5,400万円となるのです。

では次に亡くなった方に配偶者がいて、子供がおらず、亡くなった方のご両親がどちらとも健在の場合はどうなるのでしょうか?答えは「3,000万円+600万円×法定相続人の数(配偶者1人+ご両親2人)=基礎控除額4,800万円」です。

亡くなった方に子供がいなかった場合は、亡くなった方のご両親は法定相続人の数に入ります。 また、亡くなった方に子供もご両親もいなかった場合は、亡くなったか方の兄妹姉妹が相続人になります。

相続税の基礎控除計算する際の注意点

法定相続人の数の数え方には注意点があります。相続税の基礎控除の計算をする際に非常に重要になってくるため、その注意点を詳しく説明していきます。

相続放棄した人は数にはいる

相続は放棄することができます。相続放棄するということは最初から相続権がなかったものと考えます。しかし、相続税の基礎控除の計算をする場合、相続人の中に相続放棄した人はいる場合は数には数えます。

亡くなった方の子供が相続放棄をしたとしても、子供は基礎控除の法定相続人の数に入ります。そのため、亡くなった方の両親が相続権を得たとしても、基礎控除の数え方は両親ではなく子供を数えます。

代襲相続の場合は孫の数が法定相続人の数となる

亡くなった方の子供も亡くなってお、孫が相続する場合を代襲相続といいます。この場合は孫が法定相続人の数として数えられます。

亡くなったかたに子供が1人いて、その子供も亡くなっている場合は孫の人数を数えるということになります。配偶者も亡くなっており孫が3人いれば、法定相続人の数は3となります。

相続欠格や相続排除者は法定相続人の数にはいらない

亡くなった方の残した遺言を破棄したり、相続を妨害する行為を行えば相続欠格となり、財産を受け継ぐことができません。亡くなった方に対して生前暴力を振るうなとしていた方を、相続排除者として、相続人の中から外すこともできます。

そういった場合は、相続欠格者や相続廃除者は相続人の数に数えないこととなっています。

法定相続人以外の人が相続する場合は数にはいらない

亡くなった方が遺言などで、相続人以外の方に自分の財産を相続させることもあります。相続人以外で財産を相続した方は、法定相続人の数には入りません

遺言などで相続人を増やすことにより、基礎控除の額が大きくなるのを避けるためです。

例えば、遺言で自分の財産を100人相続させたとします。もし、この100人を法定相続人の数に入れてしまえば、基礎控除の額は「「3,000万円+600万円×法定相続人の数(100人)=基礎控除額6億3,000万円」ととても大きな額となってしまいます。

このように、遺言により法定相続人以外で財産を相続した方は、法定相続人の方には入れないという決まりは、自由に基礎控除の額を変えることを防ぐためです。

相続税が課税されるかは基礎控除の額を計算してみよう

相続税が課税されるかどうかは基礎控除の額を計算してみましょう。相続財産がの基礎控除の額を下回れば、相続税は0円となり、相続税が課税されることはありません。

基礎控除の額を上回った額のみ相続税が課税されることとなります。つまり基礎控除額を知ることにより、自分が相続税が課税されるかどうかおおよその目安となります。

また相続税には基礎控除の他に、たくさんの制度が設けられています。そういった制度を使うと相続税の額を減らすことも可能です。

どんな制度があるのか気になる方は一度税理士に相談してみても良いでしょう。


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