相続税の申告は何年前に遡ってどのように税務調査される?

「数年前に相続税の申告をしたけど、今頃税務調査が来た」という方もいますよね?一体何年も前のことを税務署はどのようにして税務調査しているのでしょうか?

今回は相続税の申告は何年前まで遡って調査されるのか、またどのようにして税務調査を行うのかということを解説します。

税務署が銀行預金の状況を把握する方法

税務署は、銀行預金の状況をどんな感じで把握しているのでしょうか?税務署は情報収集に余念がないため、確定申告の中身や国外の送金であっても検証する事ができます。

税務署は税務調査により金融機関から情報を得る事が可能です。ここでは、税務署が銀行預金の流れをつかむ方法を解説していきます。

確定申告の中身からも税務署は調べる事が可能

税務署は財産の状況をつかむために、死亡した方の確定申告などの申告書からも情報を収集する事ができます。相続税を申告するための財産は、死亡した方が生前に蓄積していた財産です。

それにより、確定申告などの申告書は還付金の振込口座や、株式売買をしている証券法人などの多くの情報を集める事ができます。組織名がわかると、金融機関の取引情報をチェックする事が可能なので、申告漏れや不正が露呈しやすくなります。

税務署は金融機関から情報を得る事が可能

税務署は全国の金融機関をリサーチする事が可能な権限を持っています。それにより死亡した方の取引を行っていた金融機関さえ把握していれば、取引情報を常にリサーチする事ができます。

リサーチする取引情報は、法人名義の口座だけでなく、結びつき者の個人口座などにも及びます。銀行の窓口では大きな額の入金や出金をする場合に、本人確認の書類の提示を求めています。それ故、税務署は銀行でどんなお金のやり取りが行われているのかチェックする事ができるです。

貸金庫を活用している法人であれば、貸金庫の中身もチェックの対象となります。チェック対象の銀行がインターネットバンキングなどのケースでは、PCなどで取引を履歴を確認する事もできるのです。

国外の送金であっても税務署は検証可能

税務署は、金融機関からの国外への銀行預金などの情報も把握しています。金融機関は税務署に対し、法定調書を提示する義務があるので、提示された法定調書は税務署の調査としての資料とされる事になります。

国外送金等あれば、100万円を超える国外送受金の申込みを行った金融機関は、法定調書を作成し税務署に提示しなければなりません。それにより、国外への送金も税務署は理解しているのです。

近年では外国に財産を保有している人が増加していますが、それらも一通り調査されていると思っていてよいでしょう。

相続税の税務調査では何年前まで遡る事が可能?

相続税の税務調査では、税務署は何年前まで遡ってチェックする事ができるのでしょうか?金融機関の入金や出金の取引情報は、10年間は保管しなければならない義務があります。それにより、税務署の税務調査では、10年前までは遡って調べる事ができます。

では、それ以前の情報は税務署によって調査されないのでしょうか?ここでは、税務署が10年以上前まで遡って税務調査するケースを解説していきます。

悪質な場合は税務署は10年以上前まで遡って税務調査する

金融機関の入金や出金の取引情報は、10年間は保管しなければならない義務がありますが、税務調査は10年以上前まで遡ってする事ができるのです。相続税が課税される財産は、死亡した方が残している財産が対象となりますが、亡くなる直前で築き上げる財産はごくわずかです。

そのため、全部の財産を理解するには、10年以上前に遡って調べることが不可欠となります。税務署はそのような財産を調べる権限を持っているので、悪質な不正が行われている場合は、申告漏れや不正を見逃さないために、10年以上前に遡って調べることもあります。

相続財産に不動産があるケースも気を付けなければならない

相続財産の中で金額が大きいのが、不動産や銀行預金となります。不動産や銀行預金が相続財産の中で満たす割合は7割以上にもなるので、相続財産に不動産があったケースでは、税務署は不動産を取得した状況を調査します。

税務署はクレジットの利用状況などから、財産を推測する事ができます。死亡した方の先代からの不動産であれば、取得するためのお金は必要ないので調査対象にならない場合があります。

けれども、死亡した方自身がローンを組んで不動産を買っている事例では、返金後しか貯蓄は不可能です。ローンの返済終了するのが、亡くなる10年前であれば、10年前から貯蓄する事が可能と推測できます。そのため、税務署はローンの返済がいつ終了するのかということも調べます。

仮に、税務署が推測する銀行預金の情報と、申告された相続財産に大きな差異があれば、申告している他にも財産があるのではないかと疑われる場合があります。

相続により過去に財産を取得している事例は要注意

相続財産の中には、先祖代々伝わる土地などがあります。先祖代々伝わる土地などは、とても申告漏れが起きやすい財産となっています。先祖代々伝わる土地などは、死亡した方が把握していないケースや、死亡した方の親類や相続人が把握していないケースが多々あるからです。

死亡した方が相続により、過去にそのような財産を取得してるケースでは、申告漏れが起きているのではないかと推測するので、相続状況について調査する事になります。それ故、死亡した方が過去に財産を取得しているケースでは、申告漏れを起こさないためにも前もって確認しておく必要があります。

被相続人が一代で財産を築いた事例も気を付けよう

相続財産の中には、先祖代々伝わる土地などもありますが、死亡した方が一代で築き上げた財産もあります。そのような財産も、いうまでもなく相続税の対象となります。

多くの財産を築き上げるには、相当の収入と期間が不可欠です。それにより税務署は、10年以上前から遡って財産の状況を把握します。

そのようなケースで、税務署が把握する情報は以下のようなものがあります。

  • 死亡した方が就いていた職業
  • 先祖代々伝わる相続財産があるのか
  • 臨時収入はあるのか
  • 死亡した方の生前のお金の使い道

その中でも、税務署が特に入念にチェックするのが、死亡した方の生前の暮らし状況です。税務署が家に来て質問をする「実地調査」を行うケースもあります。

「実地調査」を行う時は、死亡した方の生い立ちや人柄などを尋ねるといった事が多く、死亡した方の暮らしの情報について詳細にチェックします。

相続税の申告は10年以上前に遡って税務調査される

相続税の悪質な不正がある場合は、10年以上前に遡って税務調査される可能性もあります。また、税務署は確定申告や金融機関などから情報を得ることも可能です。そのため相続税の納税はきちんと正確に行いましょう。

一般の方では相続税の計算が複雑なため、理解することが難しい場合があります。そのような時は、専門家の税理士に相談するよう心がけ適切な相続税の納税を行いましょう。