相続税の申告漏れがあった場合はどうなるの?課せられる罰則は?
相続税の計算は複雑で、申告漏れを起こしてしまう方もいます。相続税の申告漏れを起こした場合は、どのような罰則が科せられるのでしょうか?今回は、その罰則の種類について解説していきます。
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相続税の申告漏れがあった場合はどうなってしまう?
相続税の申告期限は、相続開始を知ったときから10ヶ月以内となっています。その10ヶ月の間に、すべての遺産を調査し、遺産分割を完了し、相続税の申告と納付を行わなければなりません。
非常にスムーズな手続きが必要となりますので、相続税の申告漏れが起こってしまうということも考えられます。10ヶ月以内に申告や納付が出来なかったり、申告漏れが起こってしまったりした場合は、罰則を受ける場合があります。
そのため、相続税の申告と納付手続きは、素早く正確に行わなければなりません。申告漏れがないように早くからに資料や書類を集中し、スムーズな手続きができるよう準備することが大切です。
自身でも知らなかった財産や、相続人が知らない財産がある場合も多いためその点についても注意が必要です。
相続税の申告漏れが起きた場合の罰則の種類は?
相続税の申告漏れが、税務署の税務調査によってわかった場合は罰則を受ける場合があります。申告漏れの中身は、現金や貯金などの財産がほとんどです。
その次が有価証券で、現金や貯金と合わせると申告漏れの中の8割を満たすこととなります。税務調査について気になる方は、以下の記事をご参照ください。
そのため、現金や預金、有価証券の調査はしっかり行わなければなりません。万が一申告漏れを起こしてしまった場合には、以下のような罰則が設けられています。
延滞した場合は延滞税
相続税の納付期限内に納付することができなかったときは、延滞税が課せられる場合があります。納める税額は足りなかった相続税に加味して、下の見出しの追微課税に延滞税を合計した額になります。
- 相続税の納付期限の翌日から2か月までは年7%、和食は前年の11月30日の公定歩合プラス4%のどちらか低い方
- 相続税の納付期限から2ヶ月を過ぎた場合は14.6%
延滞税の納付額は、納付が遅れた期間によって変わります。延滞すればするほど、より多く課税されることになるので、早めに納めることにしましょう。
実際の相続税より少なく申告した場合は過少申告課税
相続税の申告書の内容の中で、実際の税額よりも税額が満たなかった場合は過少申告課税が課されることになります。しかし、税務署から指摘された時点で、早めに修正申告を行うことで罰則を避けることが可能な場合もあります。
過少申告加算税の納付額は以下のようになります。
- 新たに納税することとなった税金の10%
- 新たに納税することとなった税額が、元々納めた相続税から50万円を超える場合は、超えた金額に対して15%
過少申告課税は、新たに納税することになった税金によって金額が変わります。そのため、相続税の申告は的確に行った方がよいでしょう。
相続税の申告をしなかった場合は無申告課税
正当な理由なく期限までに相続税の申告をしなかった場合は、無申告課税が課されます。無申告課税の金額は以下のようになります。
- 自主的に申告した場合は5%
- 税務調査で発覚した場合は納税額50万円までであれば15%
- 税務調査で発覚した場合で納税額50万円を超えた場合は20%
無申告課税は自主的に申告した場合と、税務調査で発覚した場合では納める金額が大きく違います。そのため、相続税の申告をしなかった場合や忘れていた場合は、自主的に申告するよう心がけましょう。
悪質な場合には重加算税
相続税の対象となる財産を意図的に隠したり、事実を隠蔽したりすると、悪質な不正行為とみなされ重加算税が課せられます。悪質な行為に対する罰則となるので課税される金額もその他の場合と比べて非常に高くなります。
- 相続税の申告書を提示してした場合は35%
- 相続税の申告書を提示していなかった場合は40%
上記のように、かなり重い罰則となるため、財産を意図的に隠したり事実を隠蔽したりすることは決してしないようにしましょう。
相続税の申告は漏れがないように正確に行おう
相続税の申告は、罰則を課せられないためにも、漏れがないように正確に行いましょう。
相続税の申告は複雑な計算式で、相続税が課せられる財産とそうではない財産があります。相続税の計算は以下の記事で解説していますので、気になる方はご参照ください。
自身で申告することも可能ですが、専門的な知識が必要なため、申告漏れが起こる可能性も高くなります。また、自身でも先祖代々続くような知らない不動産がある場合も多く、そのような場合もよく申告漏れが起こります。
そのため、相続税の申告は専門的な知識を持った税理士に任せた方がよいでしょう。税理士に依頼する際には財産を隠すことなく、全て正確に話しましょう。隠していた財産が申告後に発覚すると、罰則だけでなく相続トラブルにも発展する恐れがあります。
そのようなことがないように、適切な相続税の申告を心がけましょう。